BAD PARTY「ワースト・ファースト・インプレッション」3
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翌日。シルクは一人ベッドの上で目を覚ました。
(あれ・・・僕?・・・痛っ!・・・おしり痛い・・・)
階下の酒場ではルゥザが朝食をとっていた。
「おはようございます・・・」
シルクの目の前に朝食の皿が差し出される。「クゥ〜〜〜・・・」途端にシルクの腹は昨日一日何も食べていなかった事を思い出したのか、か細い悲鳴をあげた。ルゥザがさっさと食べ終え部屋に戻ろうとするのを見て、慌てて平らげる。その姿を、女将がにこにこと見守っていた。
「あの・・・色々とありがとうございます」
部屋に戻って最初に、シルクは礼を言った。
「阿呆か。昨日の事覚えてないのか?いまだに俺の事親切な人なんて勘違いしてんじゃないだろうな」
「ご・・・ごめんなさ・・・」
「お前は、俺に――」
「でも、ルゥザさんは僕の事殺したり捨てたりはしませんでした。部屋に泊めてくれて、ごはんも食べさせてくれました」
「じゃあお前は、金さえ出してくれりゃあ男と寝てもいいのか」
「そっ、そんなんじゃ・・・」
ルゥザは、うんざりした表情でシルクから顔を逸らした。
「古代遺跡で見つかった珍しいもんを・・・集めて研究してる奴の事を、聞いた事がある。」
「ふえ?」
「・・・ついて来るか?」
「いいんですか?ルゥザさんも、一緒に行ってくれるんですか?」
「この町ももう出ようと思っていた。俺の旅にはもともと、決まった行き先は無い。それよりも・・・興味がある」
そう言ってルゥザはシルクの方を見た。
「ルゥザさんも遺跡に興味があるんですか?僕もお金を稼ぐために始めたけど昔の事とかわかって面白いなあって最近思うんですよ!実はこの前潜った地下遺跡では――」
「・・・」
顔を輝かせて話し始めるシルクだったが、ルゥザは疲れたように手の中に顔をうずめる。
「よ・・・宜しくお願いしますねっ!」
こうして、奇妙にも前の夜に暴行を加えた者と加えられた者が一緒に旅をする事になる。そしてここが永い長い物語の始まりとなることは、二人はまだ知らない。
TO BE CONTINUED・・・